一般社団法人 不動産協会

日本の不動産業

オフィスビル(都市再開発)

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  • オフィスビル開発の歴史
  •  わが国におけるオフィスビルの歴史は、明治時代に始まったと言われています。三菱一号館や馬場先門通りの両端に赤レンガ造りの西洋館が建てられ、初めて洋風のビジネス街が出現したのもこのころです。1914年には近代的な設備を備えた三菱21号館が完成。専門的貸しビル業は、ここから始まったと言われています。
     1923年には丸ノ内ビルヂングが完成、1923年に発生した関東大震災を機に、耐震建築の重要性が認識されるようになりました。第二次世界大戦(1941~ 45年)により、貸しビルの多くは焼失したものの、残存したビルの接収が解除され、地代家賃統制令が改正された1950年以降、貸しビルの本格的な建築が進められていきます。
     1950年代以降、第二次世界大戦中に工事を中断していたビルや戦後に着工したビルのいくつかが竣工。そして、1950年代後半に入ると、朝鮮戦争後の神武景気を背景に、第一次のビルブームがおとずれます。銀行の不動産業に対する融資評価は「丙ランク」で、資金調達は依然として困難でしたが、テナントとして入居予定の企業から資金の提供を受ける「建設協力金方式」が一般化、ビル事業が軌道に乗っていきました。

  • 都市再開発事業の進展
  •  1955年以降の高度成長期には、ビル需要が急増、それに伴い貸しビル業が著しく発展していきました。この時代を通じて三菱地所のビル群や国有地の払下げを受けた金融機関、新聞社の社屋等が続々と完成、東京の有楽町・丸の内・大手町にかけてのオフィス街がほぼ完成しました。
     1961年の特定街区(※1)制度の創設と1963年の 容積率(※2)規制の導入を受け、建物の高さ制限等が緩和されました。さらに1968年には都市計画法が改正され、1969年には都市再開発法も制定されるなど、1960年代~ 70年代はじめにかけ、良好な市街地環境を確保しつつ、優良な建築・開発を誘導する諸制度が整備されました。こうしたことから、民間事業者も大掛かりな再開発事業(※3)に進出するようになります。1968年には、特定街区第1号として1964年に同時に指定を受けた東京の常盤橋再開発と霞が関ビルが相次いで完成、それぞれ当時の東洋一の規模と超高層第1号となりました。また、同じ1968年には、東京都の淀橋浄水場跡の基盤整備が終わり、民間へ土地が払い下げられて、超高層ビルの立ち並ぶ新宿新都心の建設が始まりました。
     1970年代後半に入ると、人口と産業の大都市集中が一段落し、ビルブームも落着きを取り戻した一方で、新しい事業スキームなどを活用した「まちづくり」と呼ぶにふさわしい、より質の高い開発が進められるようになります。その代表的なプロジェクトが、1986年に完成した東京・港区の「アークヒルズ」です。また、旧NHKの跡地等に2つの特定街区が指定され、1981年に竣工した日比谷シティには、4棟のビルが建設されましたが、このプロジェクトは、街区内で空中権(※4)が売買された事業としても有名です。

  • バブル崩壊と「都市再生」の推進
  •  1980年代後半から90年代初頭にかけては、情報化の進展や東京の国際金融センター化を背景に、空前の開発ブームを迎え、ディベロッパー以外の企業も続々とビル事業に参入、バブルと呼ばれた地価高騰に拍車をかけました。またこの10年の間に、千葉県の幕張、横浜のみなとみらい21、大阪ビジネスパーク(OBP)、横浜ビジネスパーク(YBP)など、長期にわたって事業を継続してきた超大型のプロジェクトも相次いで姿を現しました。
     バブル崩壊後には、低迷が続いた日本経済の活性化対策として、民間事業者による都市再開発事業の積極的な推進に、大きな期待が寄せられました。都市再開発は経済波及効果が高く、内需拡大による景気回復に大きく貢献する事業です。
     2002年には、都市再生特別措置法の施行により、国が都市再生の拠点として緊急的かつ重点的に 市街地の整備を推進すべき地域を指定する「都市再生緊急整備地域」がスタートしたことで、国鉄清算事業団の売却地の開発等が進められ、汐留や品川、六本木等での再開発が行なわれ、良質で大規模なオフ ィスビルが次々に供給されました。民間活力を生かした都市再生により、各エリアでオフィスのみならずホテルや商業、劇場等の複合機能を持つ施設や、さまざまな社会課題の解決に資する公共貢献施設の整備、都市の防災性能向上が実現しています。
     一方で、人口減少、少子化・高齢化が進む中、地域の活力を維持しながら、行政サービス、医療、福祉、商業等の機能を確保して安心に生活できるコンパクトなまちづくり、いわゆる「コンパクトシティ」の必要性が指摘され、2014年には都市再生特別措置法の改正により、立地適正化計画制度が創設されるなど、さまざまな取組みが進んでいます。

  • 国際競争力のあるまちづくり
  •  経済のグローバル化等に伴い、経済成長の重要な原動力である都市の国際競争力の向上が、国の発展にとても重要なテーマとなっています。ロンドンやニューヨークといった世界の大都市や、近年発展が著しいアジアの諸都市との競争に打ち勝つためには、日本の都市に、世界中から人材・企業・資金・情報を呼び込む、国際的なビジネス環境整備を進めることが求められています。
     2011年には、都市再生特別措置法の一部が改正され、国際競争力の強化を図る上で特に有効な地域を指定する「特定都市再生緊急整備地域」や、総合特別区域法に基づく「総合特区制度」が設けられました。また2013年には、国際的な経済活動拠点の形成を促進する目的から、国家戦略特別区域法が成立するなど、都市の国際競争力強化に向けた取組みが強力に進められています。

    関連項目:「国際化」

  • 近年のオフィスビル・まちづくり
  •  また都市の防災性能向上に向け、高度な制震・免震構造や非常用発電設備を備えるなどBCP機能を有するビル、帰宅困難者対策も踏まえて設計されたビルなども増えています。
     IoTなどの新技術が目覚ましい進歩を遂げ、国の成長戦略の柱として掲げられる中、劇的に変化する社会のニーズに対応すべく、こうした新技術をまちづくりにおいて活用する取組みや実証実験等が行われるとともに、新技術のみならず環境やエネルギーなどの対策も包含したスマートシティ実現に向けた取組みも進んでいます。
     さらには、生産性向上に向けた働き方改革やオープンイノベーションが進展する中で、インキュベーションオフィス、サテライトオフィス、コワーキングスペースなど、働く場としてのニーズが多様化する中さまざまなタイプのオフィスが登場しています。

    関連項目: 「環境・エネルギー、防災、エリアマネジメント